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            日常の風景   NO.0398
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バリ島のマッサージ

ヴィラで毎朝朝食の支度をしてくれたメイドさんは、
ワヤという名前で南方系のかわいい顔立ちをした女の子だった。
22歳、独身、ヴィラの近くに家族と住んでいる。

最初の朝に彼女の作ってくれたオムレツを
「イニ エナー」(これ、おいしい)
と覚えたてのインドネシア語で褒めると、
にっこりと嬉しそうに笑ってくれた。

彼女は簡単な英語なら話せたが、
やはりその人の母国語で表現すればより心は伝わる。

普通西洋のホテルなら枕銭というチップを
メイドさんのために枕の下に用意しておく。
でもここはヴィラである。ホテルとは違う。

常識的なチップの額がまったくわからなかったので、
仕方なくワヤさんに直接訊ねてみた。
他のお客さんはどのぐらい渡しているのかと。

でも彼女はとても奥ゆかしい。
「気持ちだけで」というだけで
自分から直接要求することはなかった。

結局、西洋での枕銭がひとり1ドルぐらいだったから、
大人4人ということで40000ルピアを毎日渡した。
日本円にすると350円ぐらいである。

バリ島は日本円に換算すると物価が極端に安い。
特に人件費が信じられないほどに安い。
ひと昔前の日本も外国人から見れば
同じように感じられたはずである。

人件費が安いということはマッサージも安いのである。
毎朝、娘と娘婿は、マッサージ店からヴィラまで
出張してもらって、マッサージを楽しんでいた。
ワヤさんに頼むとすべての手配をしてくれた。

オイルをたっぷりと使ったマッサージ、出張費込みで
60分150000ルピア(約1300円) 
90分200000ルピア(約1700円)

幸いわたしの肩は凝らないたちである。
でも肩凝り性のふたりにとっては、
最高の贅沢であり、リラックスタイムであり、
頑張ってきた自分への何よりのご褒美になったのだろうと思う。

ふたりがあまりに気持ちよさそうに
陶然とベッドに身を横たえているのを見て、
小学6年生の孫娘までが「わたしもしてもらう」と言い出した。

もちろん自分の小遣いで支払うというのであるが、
わたしは小学生がマッサージなんてと批判的で
賛成はしなかったが、結局孫娘もマッサージを楽むことになった。

帰国して息子にその話をすると即座に孫を褒めていた。
外国でしかできない経験に果敢にトライしたのはえらいというのである。
わたしもすぐに父親の考えが正しいと思い心の中で拍手をした。
そしてその父親を育てたわたしにもこっそりと拍手。



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sceneryの風景

バリ島に来てずっとヴィラの中だけに居たわけではない。
もちろん観光もしっかり楽しんだ。
この観光も人件費や物価の安さにずいぶんと助けられた。

何しろ大人4人と子供2人の6人家族が乗れる、
大型のワゴン車を運転手付きで一日中借り切り、
夜遅くまで観光して、350000ルピア(約3000円)だった。

地球の歩き方というバリ島のガイドブックに
観光スポットベスト10というのが載っている。
バリ島に来たらぜひとも訪れたい観光スポットが網羅されている。

結局2日間、ワゴン車を借り切り、
誠実な運転手と、とても親しい関係になり、
地元の人しか楽しめないようなレストランとか、
普通の観光では見られないような風景とかを
一杯案内してもらった。

彼のアドバイスは的確で、
「ここの寺のガイドは正規な料金をもらっているのに、
終わればチップを必ず要求してきます。
支払う必要はありませんから」
などと事前に言ってくれたので、
しつこくチップを要求されても自信を持って峻拒できた。

終わってみればベスト10の内6ケ所までを
観光することができたのである。



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