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            日常の風景   NO.0381
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孫と教室で

彦根城の西側にあるから城西小学校。わたしの母校である。
今年も又オーストラリアからの児童を招いての
交流プログラムが始まった。

拙い英語力のわたしにもボランティア通訳としての依頼があり、
ふたつ返事で引き受けた。
5年生になる孫娘と3日間も教室で一緒に過ごせるのが楽しみだった。

通訳とはいっても、先生の授業を逐一通訳するというような事はなく、
「もし困っている様に見える児童がいれば声を掛けてあげてください」
という程度の簡単な依頼なので身構える必要もあまりない。

孫の教室には5年生と6年生のオーストラリアからの児童が6名いた。
自分で作った切り紙をラミネートして
手作りのしおりを作成する臨時の工作の時間。

先生は色紙を六角形の形に切る方法を
日本語とブロークンな英語で説明していた。
ブロークンとはいえ、懸命に伝えようとする先生の態度には感服した。

英語は正確な文法を操るのが本分ではない。
英語はネイティブのような完全な発音を真似することでもない。
あくまでもコミュニケーションのツールで、
何とか自分の意思が相手に伝わることが本質である。

少しは英語ができるわたしの前で、先生は照れやてらいもなく、
堂々とした態度で単語を並べたり、日本語も交えたりして、
見事に生徒とコミュニケーションを取っていた。

この先生なら本格的に英会話を練習すればすぐにうまくなると思う。
今までにどれだけ恥をかいたかという総量と、
英会話の熟達度は間違いなく比例している。

「sceneryさん、六角形て英語でどういうのですか?」
後の方で何となく授業の進行をながめていたわたしに
突然お鉢が回ってきた。

えっ、知らない。
でもわたしには海外への個人旅行で数々の修羅場を
くぐり抜けてきた数多くの経験がある。
すぐにオーストラリアの児童に聞くべしと決めた。

「トライアングル(三角形)」
「スクウェア(四角形)」
「ペンタゴン(五角形)」
「次は英語でどういいますか?」
と聞くとすぐに児童のひとりが大きな声で
「ヘキサゴン」と答えてくれた。

五角形はアメリカ国防総省の建物の有名な形。
ペンタゴンとの愛称で呼ばれていたので
昔からよく知っていた。

出来上がったブックマークの裏には
互いの国の児童の名前を交換したりしていた。
こうして楽しく価値ある貴重な時間があっという間に過ぎて行く。



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sceneryの風景

通訳に限らず、外国人とのコミュニケーションで
一番してはいけないのが黙り込んでしまうことである。

正確な文法を頭のなかで組み立てたり、
適切な単語を何とか思い出そうとして沈黙が続くと、
何となく気まずい雰囲気になってしまう。

たとえ相手が理解できない日本語ででもいいので
とにかく何か話し続けることが大切。
話し相手が「わからない」とか「どんな意味?」
とか言っているうちに思い出すこともある。

今回もそうだったが、子供の英語は聞き取るのが難しい。
大人同士の会話なら相手がよくわかっていないなと思えば、
別の言い回しや、他の単語に言い換えて、
何とかコミュニケーションが続けて行ける。

だが子供は早口で、こちらが聴き取れなくて聞き返しても、
又同じことを早口で繰り返すだけで、
結局はよくわからないことも多かった。

しかしながら子供同士のコミュニケーション能力は抜群である。
1年生のクラスにも参加したが、
英語で歓迎の歌が歌えるし、
「マイ ネーム イズ 〜」「ナイス ツー ミート ユー」
ぐらいは全員が言える。

第一、外国人を誰も怖がらない。
とてもフレンドリーな雰囲気がすぐにできる。
いろいろと批判はあるが日本の英語教育は着実に進歩している。



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発行者 scenery
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