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            文章スケッチ   NO.0038
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極微の宇宙

素粒子のニュートリノのことをわかりやすく説明している
NHKの科学番組を見ていた。
わたしはテレビで科学番組を見るのが大好きなのだ。

その番組に出演していた研究者が
この瞬間にも何千億個のニュートリノが
わたしたちの体を通り抜けていますと言った後、
「ところでニュートリノって、どのぐらいの大きさだと思います?」
と司会者に質問を投げかけた。

司会者の答えを待たずに、研究者はその答えを自分で用意していた。
「一個の原子を地球の大きさにまで拡大したとします。
そのときのニュートリノの大きさは針の穴ぐらいです」
と言ったのである。そして続けたコメントは、
「素粒子から見れば、何もない宇宙の空間をたったひとりで飛んでいるようなものです」

わたしは科学が好きだったが、学生時代から数学はからっきしダメだった。
だから宇宙や素粒子のことを数字で説明されてもまったくわからない。
その代わり身近なものでたとえられると印象に残るし、イメージも湧く。

たとえば太陽が直径一メートルの火球だとすると、
約百メートル離れた場所でパチンコ玉ぐらいの地球が回っている。
約五百メートル離れた場所で
ソフトボールぐらいの木星が回っていると説明されれば
太陽系のイメージが大体つかめる。

物質の最小単位、原子についても同様である。
ひとつの原子核の周りをひとつの電子が回っているのが水素原子であるが、
原子核を直径一センチだとすると、
その周りを回る素粒子の電子の軌道は一キロメートルも離れているのである。

わたしの中学生時代に習った原子の説明は
中央に原子核というものがあり
それはは陽子と中性子からできているというぐらいであったが、
近年の素粒子物理学世界の進歩には目覚ましいものがある。

陽子も中性子もクオークと呼ばれるより小さな単位で構成されていて、
そのクオークは三つの素粒子からできていることがわかっている。
すべての物質は今までに発見された17個の素粒子から出来ていて、
すべてその成り立ちも運動も説明できるらしい。

要するにこの宇宙も素粒子の世界も空間はスカスカで
物質と呼べるものは圧倒的にほとんど何もない世界だともいえる。
しかしそのスカスカの空間が全く何にもない真空であるかといえば、
一概にそうでもなさそうだから興味は尽きない。

とにかくわたしたちの宇宙は無限に大きくて無限に小さい。
物質の最小単位である素粒子ひとつひとつが、
また別の宇宙世界であったとしてもわたしはさほどに驚かない。



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sceneryのひとこと

わたしのお宝映像のひとつに、
もう何十年も前に日本が打ち上げた「かぐら」という
月の探査衛星からの映像がある。
その映像には日の出のように月の地平から
地球が昇ってくる映像が鮮明に映されている。

気分が落ち込んだ時などに気分転換にとこの映像を見る。
漆黒の宇宙空間にぽっかりと浮かんでいる青い地球。
我がふるさとの地球、本当にきれいな惑星だと何時見ても感動する。

こんな小さな球の上で、80億人近い人類が住んでいて、
それぞれの人生を営んでいると考えると、
何か小さなことでくよくよと悩んでいるのがばからしくなってくる。

宇宙や素粒子の成り立ちまで理解しつつある
信じられないほど聡明な人類。

こんな美しい惑星の上で二十一世紀の世界で又野蛮な戦争なんかおっぱじめて・・・
人類も80億人もいると、たまには出来損ないもできる。
その出来損ないに強大な権力があるから質が悪い。
どうすればいいのだろう?

この悲しみは「かぐら」の映像を見ていても晴れない。
今までにこんなことはあまりなかったのに・・・



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