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            文章スケッチ   NO.0028
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新型コロナウィルス

娘に勧められてちょっと前に、ダン・ブラウンの「インフェルノ」という小説を読んだ。
この本もそうだが「ダ・ヴィンチ・コード」など彼の多くの作品が映画化もされ、
今世界で一番売れている作家のひとりだと思う。
彼は多くの科学的に正確なデータを使って小説を書く。

この小説の重要なテーマが地球の人口問題。
キリストが生まれたときには約1億人だった世界の人口が、
1000年もかかってやっと2億人と倍の人口になった。

世界の人口増加のグラフを見れば一目瞭然だが、
それからの人口増は等比級数的である。
2056年には100億人を突破すると予想される。

そして今世紀末には200億人に・・でもそれは絶対にない。
どこかの時点で数十億人単位で人類が淘汰される出来事は必ず起こる。

小説ではこのままだと人類そのものの生存が脅かされると考えたある科学者が、
遺伝子を組み替えて、まさに現在のコロナウィルスより数百倍も強力な
ウィルスを世界にばら撒き、強制的に人口を調整しようとするのである。
偶然にも今読むと実にリアリティのあるタイムリーな舞台設定になっている。

小説にもよく引用されているのだが、
人口統計のような紛れようのない事実を明示的に突きつけられると、
人間は「否認」というプロセスを選ぶらしい。

「否認」とは心理学の専門用語で、
「自己がその事実をそのまま認めると不安や不快を感じるような現実などを
無意識に無視してしまう心の働き」を言うらしい。

人口問題だけではなく、地球環境や地球温暖化の問題なども、
わたしも含めて都合の悪い明白な事実は
「否認」するように人間のDNAはプログラムされている。

一時期評判になった地球はひとつの大きな全体としての生命だという
「ガイヤ理論」という理論が発表された。

地球というひとつの巨大な生命体の環境にとって、
自分達もそのメンバーの一員でありながら
環境を破壊しその数を爆発的に増やし続ける人類は
地球にとってのウィルスのような存在だから自然に調整されると。

現代のような行き過ぎた文明は何らかの世界規模の出来事により
いつかは調整させられざるを得ない運命にあったのは確かだったと思う。
それが世界戦争になるか、今回のようなパンデミックか、
経済のクラッシュかはわからなかったが、
とにかくいつか何かが起こることは蓋然性の問題であったのだ。

文明の行き過ぎを強制的に修正する方法としては
世界戦争よりは、財政赤字による財政の破綻よりは、
パンデミックがまだ一番人々が耐えられる災害だと思う。

世界一律に起きた禍で公平といえば公平だ。
こうでもしなければ人類は自覚的に文明を修正することなど不可能だった。

戦前、戦後という言葉があるが、
現在の惨状は時代そのものを間違いなく強制的に変えてゆく。
コロナ前、コロナ後というようなパラダイムの変換が必ず起こる。
わたしたちはもう元の生活に戻ることはできない。

今回のコロナ禍は誰の責任でもない。
誰にも止めようがなかった必然的な地球の意志だったとでも考えて
諦めましょう。受け入れましょう。コロナと共生して行きましょう。

ウィルスの歴史は30億年以上もあり、人類の歴史は高々500万年です。
きっとわたしたちが知らないだけで、
この地球という生命体に果たす重要な役割もきっとあるに違いありません。



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sceneryのひとこと

コロナ禍の現在の悲惨な状況。
この理不尽な惨状を何とか自分自身に納得させようと、
久しぶりに文章を書いたような気がします。

それにしても本文を読み返してみると文章が堅い。
教科書みたいで面白くない。
自分でもよく消化できていないことは易しく書けないがよくわかりました。
もちろん、よくわからないながらも前からずっと考えていたことではあります。

現在の状況は間違いなく、世界的な危機状況です。
解剖学者の養老孟司がどこかで書いていた言葉を思い出します。
危機管理なんてできるわけがない。
想定外のことが起こり管理ができないから危機なんだと。

もし今回中国が初期の段階できちんと管理してウィルスを封じ込めていたら、
世界は中国に感謝したでしょうか?
よくある風土病が武漢で発生していたらしいと、
それほどの話題にも上らず、すぐに忘れ去られたことでしょう。
きちんと管理ができればそれはただのルーチンワークで危機ではないのです。

養老孟司は昔の人は危機管理のことを「覚悟」と言ったと書いています。
「覚悟」が危機管理。その通りです。
ワクチンか治療薬が開発されるまで1年〜1年半。

それまで既存の薬でしのぎながら、この制限された生活が続くという覚悟。
経済も底を這うような不況が長く続くという覚悟。
東京オリンピックも中止になるかもしれないという覚悟。
ある程度の注意はして、それでもコロナに感染すれば、
そのときはそのときと運命を受け入れる覚悟。

わたしたちの危機管理は間違いなく「覚悟」です。
最悪のことが起きるかもしれないと「覚悟」が決まると、
これからのニュースは最悪に比べれば毎日がいいニュースばかりです。



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