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            文章スケッチ   NO.0026
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調べたことば

電車に乗ったときの時間の使い方は、
一時期はタブレットに凝っていた。

ニュースも映像も音楽も漫画も小説も薄い小さなデバイスで
全てが事足りる。軽くて荷物にならない、
電車に乗るときには最高のお供だと思っていた。

でも最近はまた紙ベースのリアルな本に戻った。
あまりにも周りにスマホやタブレットを操作する人が多く、
何となく自分もその一員として車内の風景の一部になってしまうのに
抵抗が芽生えてきたのである。

半世紀以上に渡って培ってきた電車の中では読書という
なじみのある習慣に従う方がやはり落ち着く、すわりがいい。
それにラッキーなことにこの年になっても明るい場所では
それほど視力が衰えていないのである。裸眼で1.0。

いつものように村上春樹の短編小説集を読んでいると、
意味のはっきりしないことばに出会った。
家で本を読んでいるときならこんな場合すぐにPCを立ち上げて、
ネットから意味を調べ、それを「最近調べたことば」という
わたしのフォルダーに記録する。

だが電車の中ではそれができない。
しかたなくそのことばが書かれているページを頭に叩き込んだ。
叩き込んだつもりだった・・。が、
一日が経過するともうすっかり忘れていた。ページもことばも。

カタカナ英語だったとだけは記憶していたので、
小説の最初からカタカナだけを目で追っかけた。
カタカナというだけのキーワードではなかなか見つけられなかったが、
同じ作業を2回繰り返してやっと思い当たるページにたどり着いた。
「パラフレーズ」ということばである。

本の中ではこんな使い方がされていた。
「いくつかの異なった物語のかたちにパラフレーズし・・」
易しそうでよく使いそうなカタカナなのに意味がわからない。

早速ネットの検索ボックスに「パラフレーズ」と入力した。
意味はすぐにわかった。
ある表現を他のことばに置き換えて、わかりやすく述べることを
パラフレーズという。

早速パラフレーズを「最近調べたことば」に記録しようとして、
驚いた。ショックだった。
同じ言葉がもうすでに記録されていたのである。
そして参考にしたサイトもそこから引用した内容もほぼ同じだったのである。

時々は読み返して頭に入っているつもりだったのに・・



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sceneryのひとこと

わたしの「最近調べたことば」には
「インバウンド」ということばも載っていました。
いつの間にかNHKのニュースでも日本語のようにして使われています。
別に「インバウンド」と言わなくても「外国からの観光客」で十分だと思うのですが。

その他、意味が不明だったり、再確認の意味で調べたここ数年の
「最近調べたことば」のカタカナを列挙すると

オーソライズ
エクソダス
メルクマール
パラダイム
トポス
ペダンチック
コンセプチュアル
シンクレティズム
トレランス
アナロジー
モメンタム
リテラシー
ゲシュタルト崩壊
アフィリエイト
ディレッタント
フェティッシュ
フォルム
レガシー
デラシネ
パラサイト・シングル
エトランゼ
ザッピング
リトミック
コンセッション
エンパシー

何でこんなにも訳の分からないカタカナが横行するのでしょうね。
これが日本の文化というものでしょうか?

もちろん日本語の記録もあります。
読み方や意味がわからなかったり、念のために調べてみたりと。

あえか
弛む
跳梁(ちょうりょう)
跋扈(ばっこ)
目を瞠った
致仕(ちし)
敷衍(ふえん)



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発行者 scenery
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HP 日常の風景
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