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文章スケッチ NO.0006
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交差点の景色から
今朝のNHKのニュースを見た後で、
ふと大阪駅近くの交差点の景色を思い出した。
繁華街が近いキタのメインロードの横断歩道で、
ガードマンのような制服を身に着けた数人が
いつも交通整理をしている。
たまには女性もいるが、中年以降の男性が多い。
制服にはきちんとアイロンが当てられていて、
襟を正して仕事をしているということがこちらに伝わって来る。
その交差点には正常に作動している信号もある。
交通整理をしている人は、その信号を見ながら、
横断歩道で赤信号を待っている人に向かって、
「もうしばらくお待ちください」
と常に声を掛けている。
信号が青になると、
「長い間お待たせいたしました。ご協力ありがとうございました」
と帽子を取って軽くおじぎをする。
この人たちを雇用しているのは公の機関。
地方自治体の組織に違いない。
最初は大赤字の自治体がなぜこんなところで
無駄なお金を遣うのだろうとかなり批判的に見ていた。
でもきびきびと誇らしげに仕事をしている人たちを
見ているうちにわたしの考えは少しづつ変わっていった。
一見無駄には見えるが、働く人が誇りを持てる仕事であれば
必要な無駄ではないかと思えてきたのである。
NHKのニュースでは
事務処理の現場でもコンピュータの処理技術が
どんどん向上しているという特集を放送していた。
人間がする単純作業はコンピュータに置き換えた方が
効率的で間違いがないと。
今までの経験からこのことは紛れもない事実だろう。
人間は創造性のない単純作業にはすぐに飽きがきて、
集中力が続かない。間違いも起こしやすい。
でも効率的でミスがなく経済的だからと言って、
人間の仕事を単純にコンピュータに置き換えていいものだろうか?
その前に準備をすることが一杯あるような気がする。
この分野の進歩は一度動き出したら早い。止められない。
それと平行して人間が誇りを持ってできる適当な仕事を
今からあちこちで見つけておかないと、
世の中は失業者であふれ、結局経済が破たんする。
何のための効率化だったのだろうと、
みんなが臍を噛むようなことだけはないようと願うのだが、
行き着くところまで行って、大戦争でも引き起し
世界が荒廃しきった後でないと止められないのだろうな。
多分。
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sceneryのひとこと
赤字を覚悟でする誇りの持てる仕事は
作りだせばかなりあるように思える。
たとえば観光地の清掃なども、きちんとした制服を貸与して、
毎日の仕事としてこなしてもらうとか。
不要の電化製品を分解してきちんと分類し、
資源として再利用する仕事とか。
民生委員が受け持っている仕事を人数を増やして、
正式な仕事としてもっときめ細やかな活動にするとか。
かなりいろいろと作り出せると思う。
いずれにしろお情けで雇ってもらっているのではなく
社会に必要な仕事であって敬意も払ってもらえるという
社会的認知が必要ではあるが。
またベーシックインカムという考え方もある。
まだ社会科学の理論だけの世界に過ぎないのだが、
人間として生まれたらすぐに政府が定期的に現金を支給し、
最低限の生活の保障はされるという制度である。
この方法ならコンピュータやロボットによる効率化を徹底しても
経済はなんとか循環して行くかも知れない。
いわばコンピュータによる全国民への配当という訳である。
最初にこの理論を聞いた時、財源はどうするの?
人間の生きがいは,誇りはどうなるの?
ばかばかしいと感じられたが、
こんな理論も真剣に研究して発展させてゆかないと、
コンピュータに人間の雇用を根こそぎ奪われて、
やがては戦争になり社会が荒廃し経済が破たんするという流れは
もう止めることはできないのではないだろうか?
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発行者 scenery
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