姉川沿岸土地改良区

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姉川の歴史

1.流域の概要

 姉川は、滋賀県北東部に位置し、米原市と長浜市にまたがる一級河川です。滋賀県の最高峰である伊吹山に源を発し、流域面積は約158km2、流路延長は約31.3kmで、支川の草野川、高時川を合流して琵琶湖に流入しています。

2.水利用のはじまり

 戦国時代の「姉川の戦い」で有名な姉川ですが、農耕への水利用の歴史ははるかに古く、かつて肥沃な原野であった伊吹山麓の大原のを白雉元年(紀元650年)に出雲国人が開拓し、伊吹山下の姉川より水路を開削して開墾地を灌漑したと伝わっています。この土木工事は3年がかりで竣工し、のちにこの井堰や用水溝は、出雲の国人が開削したことから「出雲井(いずもゆ)」と名付けられ、この呼名は、地元では今もなお親しみを込めて使われています。

3.出雲井から姉川合同頭首工へ

 以来、出雲井は、およそ1,300年もの長きにわたって、私たちのご先祖が、井組などの自治組織をつくって、定期的に川ざらえをし、幾度となく洪水で流されては復旧し、渇水のたびに熾烈な水争いの歴史も刻みながら、この地域の農業水利の基幹施設として連綿と守られてきました。しかし、昭和25年のジェーン台風襲来により、出雲井を含む20もの旧井堰が流出したことを契機に、受益地住民が結束して県へ災害復旧請願を行った結果、これらの旧井堰を統合した「姉川合同頭首工」をはじめとする農業水利施設が3年がかりで整備され、当土地改良区の誕生を見ることとなりました。

4.幾多の苦難を乗り越えて

 こうして先人が守り継いできた出雲井の歴史は、姉川合同頭首工に姿を変えて今も昔と変わらず地域の農業を支え続けています。しかし、その姉川合同頭首工も建設から60年以上が経ち、老朽化が著しくなり、施設の更新が喫緊の課題になっています。小水力発電など今の時代ならではの知恵や技術も活かしつつ、先人から受け継いだ貴重な農業遺産を次世代にしっかり引き継いでいけるよう、地域住民・農家・行政が一体となって、新しい頭首工づくりに向けて着実に歩みをすすめているところです。

【ご案内】冊子「姉川水利の歴史」

茨木大学農学部からの委託を請けて伊吹山文化資料館友の会が実施した調査報告書に、出雲井誕生から姉川合同頭首工建設に至るまで、姉川水利の歴史を文献や聞き取りから細部にわたり詳細ににまとめられており、先人の御苦労が偲ばれるたいへん価値のある資料となったことから、姉川沿岸土地改良区では、この調査結果報告書を約120ページの冊子にして、平成28年11月に刊行いたしました。

当土地改良区事務所にて閲覧可能なほか、在庫がある限り、1冊1,000円で販売もいたしておりますので、ご入用な方はお問合せください。