
- 心の絵の具 -
心のなかにことばの絵の具を、
色とりどりにいっぱいつめておきたい。
そうすれば、心のスケッチブックは、
いつでも取出せる。
なんの道具もいらない。
広げる場所も必要ではない。
目に映った日常の、
すこしだけ心うごいた風景を、
感性の画用紙に書き写すだけ。
すこしぐらい絵の具をつけすぎても、
色が足りなくても、かすれても、
そんなことは気にしない。
稚拙な文章でも、数行のメモであっても
書かないよりはずっといい。日常の風景はそのときにスケッチしておかないと
永遠にふたたびめぐり合うことのない、
たった一瞬の出会いなのかもしれない
とりたてて、変わったことのない、平凡な日常。
その日常の積み重ねこそが人生。
毎日のちいさなよろこび、哀しみ。
それらの味わいこそが、生きているということ。